猫にドライフードだけ与えていると…

ドライフードは人間にとってメリットが多いけど…

猫の総合栄養食は「ドライフード(通称:カリカリ)」と「ウエットフード」の2種類があります。
昨今はウエットフードの総合栄養食も増えていますが、種類が豊富なのは断然ドライフードの総合栄養食です。
ドライフードはウエットフードに比べて割安ですし、開封しても日持ちします。
人気が高いのは、当たり前ですよね。

キャットフードはドライフードが人気。

でも、猫にとってメリットが多いのは、ウエットフードであることをご存じでしょうか?
最も大きな利点は、

ドライフードに比べて1日の水分摂取量が増える

ことです。
ドライフードの水分量は7〜10%程度、ウエットフードの水分量は75〜80%と、
含有水分量が大きく異なります。
当然、食事を通して得る水分が多くなるわけです。
「ドライフードとは別に水を与えれば、1日の水分摂取量はウエットフードと変わらないのでは?」と考える方もいるかもしれません。
しかし、ドライフード+水より、ウエットフード+水のほうが1日あたりの水分摂取量が増えると言われています。

ウエットフードは水分が非常に多い。

ウエットフードは尿石症予防に効果的

猫にとても多い尿石症。
これは「水分不足」が原因の一つとされています。
だからこそ猫にはできるだけ水分を摂取してもらう必要があるのですが、
当の猫はもともと砂漠などの乾燥地帯で暮らしていたこともあり、
体内での水の再利用機能が優れ、喉が渇きにくい性質になっています。
水分の多い食べものを与えることは、猫の尿石症予防につながります。
ウエットフードはほかにもこんな利点があります。

ドライフードに比べて食いつきが良い

カリカリ派の猫もいますが、基本的にはウエットフードのほうが好まれます。
乾物より生物を好むのは当たり前と言えば当たり前ですよね。

猫にとって自然な歯ごたえ

猫は本来、小鳥やネズミ、昆虫などを捕らえて生活するハンターです。
ドライフードのような硬いものを生涯にわたって食べるのは、猫の食性に合っていません。

保存料が使われない

例外もありますが、ウエットフードは保存料が使われません。また、ドライフードに比べて着色料が使われる傾向も低いです。この2つの添加物は、安全性が確認されていますが、“使わないに越したことはない”のも事実です。
もちろんウエットフードにもデメリットがあります。

ドライフードより割高

穀物よりコストがかかる魚や肉が主原料となるうえ、使い切り前提で個包装されているため、どうしても一食あたりのコストがかかります。

開封したら日持ちしない

ウエットフードが余ったら冷蔵庫で保存することになりますが、生物であるため、翌日には使い切るのが望ましいと言えます。

給餌や後片付けが面倒

ウエットフードは毎食、缶あるいはパウチを切る必要があり、食べ残したらできるだけ早く片付ける必要があります。

ドライフードより歯垢が付きやすいと言われる

ドライフードは硬さがあるため歯垢の研磨効果が一定度あるとされています。
一方、水分が多くて柔らかいウエットフードは歯垢が付着しやすいと言われています。
ただし、「ウエットフードだから歯垢が付きやすいとは言えない」と論じる専門書もあり、
“ウエットフード=歯垢が付きやすい”と結論づけることはできません。
結局、人間にとってメリットが多いのはドライフード、猫にとってメリットが多いのはウエットフードと言えると思います。
手間やコストを考えると、ウエットフードを主食にするのはけっこう大変ですよね。
朝はドライフード、夜はウエットフードなど、交互に与えてみてはいかがでしょうか?

ドライフードだけでなく、ウエットフードも取り入れた食生活がオススメ。

文/奥田直樹(ペットフード販売士、愛玩動物飼養管理士)