サイエンス・ダイエット(ヒルズ)の長所と短所

ヒルズの「サイエンス・ダイエット」は、歴史が古く、多くのスーパーやホームセンターなどで取り扱っています。有名ペットフードのひとつで、購入したことがある飼い主さんも少なくないはず。筆者は愛猫に複数のキャットフードをあげており、じつはそのひとつがサイエンス・ダイエットです。

ペット栄養管理士・ペットフード販売士である筆者から見たサイエンス・ダイエットの長所・短所は、次の通りです。

長所①
「信頼性が高い」
サイエンス・ダイエットを手がけているヒルズは、ペットフードメーカーとして70年以上もの歴史があります。犬用の療法食を初めて販売したのも同社です。ちなみに療法食は獣医学や臨床栄養学が問われるカテゴリで、簡単に開発・製造することができません。ヒルズは療法食を手がけているうえ、その礎をつくった会社でもあります。

長所②
「科学を重視している」
ヒルズには獣医師や栄養学者を始めとした専門家が220名も在籍していて、製品の開発や改良に取り組んでいます。彼らは毎年50以上もの論文や教科書を執筆し、獣医大学で教鞭をとっているとのこと。ペット栄養学のバイブルとなっている『小動物の臨床栄養学』もヒルズが発行しています。ちなみに筆者も持っていますが、筋トレの道具になりそうなくらい重くて厚いです。
アメリカにあるヒルズ・グローバル・ペットニュートリションセンターには、450匹の猫、450匹の犬が飼育されています。そこではサイエンス・ダイエットなどのフードがテストされ、猫や犬の健康状態を観察し、そのデータをもとに製品の開発や改良が行われています。

ヒルズ(マーク・モーリス研究所)が発行する『小動物の臨床栄養学』/インターズー(現エデュワードプレス)

長所③
「価格がそんなに高くない」
2023年4月現在、サイエンス・ダイエット(ドライフード)は100gあたり130円程度です。けっして安いフードではありませんが、健康重視系フードのなかでは、比較的手ごろな価格です。

短所①
「嗜好性が低い」
筆者はテストする猫雑誌「ネコDK」で、さまざまなキャットフードの検証を何度も行っています。嗜好性に関しては、10数匹の猫に協力してもらいチェックしているのですが、サイエンス・ダイエットは毎回のように食いつきが悪いです。じつは筆者が以前飼っていた愛猫にもサイエンス・ダイエットをあげていましたが、次第に「またこれかよ……」という表情を見せるようになり、あまり食べなくなってしまいました。正直、今の愛猫も食いつきがイマイチです。

嗜好性テストでは、毎回猫たちがあまり食べません……。

サイエンス・ダイエットは科学に基づいて開発された信頼性の高いキャットフードです。弱点は、あまり“猫ウケ”しない味であること。もちろん味に対する好みはさまざまなので、サイエンス・ダイエットを好む猫もいるでしょう。そういった猫の健康維持に、サイエンス・ダイエットは最適と言えるでしょう。

文=奥田直樹(ペット栄養管理士・ペットフード販売士)