信頼できないキャットフードサイトの見分け方

「キャットフード○○種類を比較!」

「キャットフードオススメ○○選」

こうしたサイト、見たことありませんか?
で、愛猫にあげているキャットフードの評価が低くて
「うわっ……私のキャットフード(評価が)低すぎ…?」
なんて驚いたことがある人にお教えします。

©shutterstock

件のようなキャットフードサイトを目にした場合、下記に該当するようなら、信頼しないほうがいいでしょう。
というか、ほぼ該当するんですけどね。

1.「記事内に商品購入ページのリンクがある」
商品が購入できるページに飛ぶリンクが貼ってある場合、ほぼ間違いなくアフィリエイトです。
そのページを通じて商品が売れたら、サイトの管理者は一定の報酬が得られます。
そのため報酬額の高いフードをオススメしたり、高く評価したりしていてもおかしくありません
じつは当方もあるペットフードのアフィリエイトを打診されたことがありますが、「こんなにもらえんのかよ!!」と驚いて手を染めようと……お断りしています。

2.「執筆者が匿名」
どこの誰が書いたかわからないような記事って、信頼性ありますか?
あと、栄養学って科学の世界で、専門的な知識が必要なんですが、獣医師やペット栄養管理士でもない人が、なぜペットフードを評価できるんですかね。ムムム、不思議。

3.「キャットフードを原材料だけで評価している」
キャットフードは原材料だけでなく、栄養バランス、嗜好性、価格なども重要です。
そのフードの善し悪しは原材料だけでは、ぜっっっったいにわかりません
いくら原材料が良質でも栄養バランスに偏りがあれば、猫の健康を損ないます。
いくら原材料が良質でも嗜好性が悪ければ、猫は食欲が低下します。

また、原材料だけでキャットフードを評価するサイトは、ペット栄養学やペットフードに使用される原材料・添加物についての知識がありません。
たとえば以下のような記述を目にします。

「穀物(トウモロコシ、小麦、米)は猫が消化しにくい」
いやいや、それって「米は人間が消化しにくい」と言っているのと同じですから。人間は生米を消化できませんが、炊飯すれば糊化して十分に消化できます。キャットフードに使われている穀物は糊化させているので、猫も消化できます(ただしフード中の炭水化物は35%以内が推奨されています)。

「主原料が穀物なのは問題」
肉や魚はアミノ酸バランスが優れた原料です。穀物よりコストもかかる。だから肉や魚を使うことは評価できます。ただし、主原料が肉や魚だろうと穀物だろうと、栄養バランスが整っていれば同じことです。穀物が主原料だと栄養バランスが整わないというなら、その根拠を提示していほしいものです。

「大豆ミールは栄養価が低い」
大豆ミールはたんぱく質が50%弱ありますが、何か?

「無添加で安心」
総合栄養食のキャットフードはビタミンやミネラルを“添加”しないと、猫が必要な栄養素を満たせないわけですよ。それを知らないのか、はたまた添加したビタミンやミネラルは添加物でないと思っているのか……。

「BHA、BHTは発がん性があって危険」
まあ、毒性があるのは確かで、使わないにこしたことはないと思います。天然由来の酸化防止剤もありますからね。
でも、これは「醤油は飲むと死ぬ可能性があるから危険」と言っているのと同じようなもんですよ。
醤油は一度にたくさん飲めば死んでしまいますよね。必須栄養素でもない。それでも使うのは、料理がおいしくなるからです。
合成酸化防止剤は天然由来のものより酸化力が強いというメリットがあるから使うわけです(天然由来より嗜好性が落ちにくいという理由で使用するメーカーもある)。
で、キャットフードに使われる合成酸化防止剤の量というのは、動物実験で毒性が出ないと確認された量の10分の1以下です(猫や犬の試験データがない場合は100分の1以下)。

とまあ、信頼に値しない理由を書いたわけですが、信頼できないのはあくまでサイトです。
そのサイトに掲載されているペットフードが信頼できないと言っているわけではありませんので、誤解なきように。

え? じゃあ、どうやってキャットフード選びをすればいいのかって?
「そんな人にオススメなのはこちらのフードです」なんてやると、めでたく当サイトも信頼性のないサイトの仲間入りを果たすことになるので、具体名は記載できません。

近々、キャットフードの選び方をお伝えしますので、お楽しみにしてください。

文/奥田直樹(ペット栄養管理士・ペットフード販売士)